体罰反対宣言
従来のワンちゃんの行動治療では問題行動の原因は飼い主とワンちゃんとの上下関係にあると考えられていました。
彼らが飼い主に見せる攻撃的な行動や、何かを要求する振る舞いなどは飼い主への挑戦と考えられ、権勢症候群やアルファ症候群といった言葉が使われていました。
そしてそれらの治療ではワンちゃんを服従させるという事が重要とされ、力強さを示すために体罰を主体とした方法が用いられてきました。このような体罰などの嫌悪刺激を与える方法は、ワンちゃんの生存行動に働きかけるため激しい反応を引き出します。
その激しい反応がワンちゃんを調教するときには“効果がある”とみなされ、古くから軍用犬訓練や警察犬訓練など様々な所で体罰は用いられてきました。家庭犬においても体罰は“叱る”という考えと共に今でもよく行われています。
しかし近年の犬の行動学では、体罰を使用することの危険性がたくさん指摘されています。
例えば、
・体罰の使用は、ワンちゃんの防御反応による攻撃性を高める。
・体罰などの力に従ったワンちゃんは、家族や他犬に対して同じように力で関係を築こうとして攻撃的に振る舞う。
・体罰で止めるようになるは、飼い主の監視がある時だけ。
・体罰を避けるために、飼い主の望まない行動が増える可能性がある。(飼い主から逃げるなど)
学習理論に関する科学的な行動研究を推進している日本行動分析学会は、人間に対する体罰だけでなく家庭で飼育されているペットや、動物園・水族館・盲導犬などの訓練施設で飼育されている動物に対する体罰にも反対するという声明を出しています。その声明の中で体罰は効果的な学習を促進させることはなく、攻撃行動や情動的反応などの多様な問題行動などが生じるという危険がある。一方で体罰に頼らなくても学習をより効果的に進める方法があるという理由から体罰に反対しています。
このように体罰を使用しない理由がたくさんあるにも関わらず、「体罰は心を鍛える」といった偏った精神論や「体罰をしないと舐められる」といった間違った知識からきちんとした根拠もなく体罰を正当化しようとする人たちがいます。
コンピスは体罰に反対します。叩いたり蹴ったりすること以外にも、リードを強く引きワンちゃんの首に強い刺激を与える方法や天罰方式などのワンちゃんに苦痛や恐怖を与える方法すべてに反対します。
<追記>
2018年3月1日に日本獣医動物行動研究会が体罰に関する声明文を発表しました。
日本獣医動物行動研究会「体罰に関する声明文」の詳細はこちら>>>
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以下に体罰に関するブログの記事をまとめました。
公開日:
最終更新日:2018/06/05