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何が「ごほうび」なのかを考える

公開日: : 行動科学によるしつけ

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ワンちゃんが好ましい行動をした時に褒めますよね。

ごほうびをあげます。

 

今回はこの「ごほうび」について考えたいと思います。

 

学習理論ではごほうびにも定義があります。

 

行動の直後に出現すると、

その行動の将来の生起頻度を上げる、

刺激、出来事、条件

 

心理学の専門書にはこのように紹介されています。

 

行動の“直後”に出現する

ごほうびは必ず行動の直後に出てこないといけません。

この直後とは、行動が起きてから60秒までという目安があります。

これは60秒を過ぎるとごほうびの効果がほとんどなくなるという事を意味しています。

またごほうびを効果的に用いるためには、行動の直後、即時から1秒以内が理想とされています。

これらの時間は、膨大な動物の行動実験による知見に基づいて導き出された数字です。

 

その行動の将来の生起頻度を上げる

「将来の」ということがとても大切です。

褒めたその場で行動がコロッと変わるわけではありません。

ごほうびをあげることを繰り返すことで行動は変わっていくということです。

 

ごほうびに対して人が期待することはそれぞれあると思いますが、

学習理論に基づいてごほうびの効果を考える場合に、最初に取り上げられるものは、“生起頻度を上げる”ということです。

行動の直後にごほうびが出てくるという事を繰り返し経験することで、

ワンちゃんはその行動をどんどんするようになる、

という事を指しています。

 

刺激、出来事、条件

今回の記事では分かりやすく説明するために、あえて“ごほうび”という言葉を使っています。

ただごほうびという言葉を聞くと、飼い主が意図的に与える物、というようなイメージを持たれますよね。

でも定義には「刺激、出来事、条件」と書かれています。

 

これは飼い主の意図しない行動も、ワンちゃんにとってはごほうびになるかもしれないという事でもあります。

吠えているワンちゃんを静かにさせるためにオヤツを与える、そんなワンちゃんがどんどん吠えるようになるのは容易に想像できますよね。

 

行動の直後に起こる「出来事」もごほうびになります。

ゴミ箱を倒したら、中から食べ物が出てきたという事を経験したワンちゃんは、どんどんゴミ箱を倒すようになるでしょう。

ゴミ箱の中から出てきた食べ物がごほうびになっているのですね。そこに飼い主の行為は関係ありません。

問題行動が悪化しているのであれば、その問題行動の直後に起こる出来事をごほうびと考える必要があるかもしれませんね。

 

また同じものが常にごほうびになるともかぎりません。

例えば、

ワンちゃんが飼い主に飛びついている時に、ワンちゃんの「頭をなでる」という飼い主の行為と、

ワンちゃんが大好きなボールを抱え込んでいる時に、ワンちゃんの「頭をなでる」という飼い主の行為とでは、

同じ「頭をなでる」でも、ワンちゃんの受け取り方が違ってきます。

ボールを抱えているワンちゃんにとって、飼い主の頭をなでる行為は、ボールを奪うという動きに映るかもしれません。

状況によってごほうびになるものが変わるという事です。

 

 

最後に

飼い主の褒める行為をワンちゃんがごほうびとして受けとっているかどうか、どのように判断すればいいのでしょうか。

ワンちゃんが喜んでいること?

飼い主さんの心がこもっていること?

 

いいえ。それでは判断するためには不十分ですね。

 

ワンちゃんの好ましい行動の後に、飼い主が褒めて、それを繰り返すことで、ワンちゃんがその行動をどんどんするようになった、

そこまで確認できてはじめて、ワンちゃんがごほうびとして受け取ってくれていると確実に言えるのではないでしょうか。

 

問題行動のトレーニングを提案する時、はじめは「これがごほうびになるだろう」という仮定で提案します。

そのため、その仮定のごほうびが、本当にごほうびとなっているかどうか、ドッグトレーナーは確認しなければいけません。

この確認を怠ると、問題行動のトレーニングは失敗します。

問題行動に対するトレーニングを提案した後、必ずその経過を追う事が、問題を解決するためには必須だと考えています。

 

 

参考書籍

「行動分析学入門」

「メリットの法則 行動分析学・実践編」

「はじめてまなぶ行動療法」

 

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