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“一見よさそうだがじつは効果のない方法”に騙されないために

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※今回は上下関係という考え方を否定する内容ではなく、ワンちゃんの行動を見て、安易に上下関係という考え方に当てはめようとすることの問題について取り上げた内容です。

 

 

「ワンちゃんが飼い主に怒るのは、自分の方がエライと思っているからだ」

よく聞くフレーズですね。

「ワンちゃんが怒る」ことの原因は、「自分の方がエライと思っている」というワンちゃんの思いにある、という考え方です。

 

「ワンちゃんが言う事をきかないのは、飼い主をなめているからだ」

これもよく聞くフレーズです。

「ワンちゃんが言う事をきかない」ことの原因は、「飼い主をなめている」というワンちゃんの気持ちにある、という考え方です。

 

このように問題行動の原因はワンちゃんの内面(思いや気持ちなど)にある、という考え方は、ごく一般的なものです。

 

でもちょっと待ってください。

 

彼らは本当にそう思っているのでしょうか。

 

目の前にいるワンちゃんが「自分の方がエライと思っている」「飼い主をなめている」と、どのようにあなたは判断しますか?

それはワンちゃんの“怒って噛みつく”や“言う事を聞かない”といった行動に基づいているのではないかと思います。

ワンちゃんが飼い主に噛みつくという様子を見て、「自分の方がエライと思っている」と推測しているにすぎないのですね。

 

本当はどのように思っているか分からないが、ワンちゃんの行動を見て、そのコの心理を決めつけること。

これは言わばレッテルを貼っているのと同じ状態です。

 

世の中にはさまざまなトレーニング方法があります。

その中には、「一見よさそうだが実は効果のない方法」というものもあります。

行動に対して安易に内面を決めつけることで、たくさんの効果のないトレーニング方法が生み出されています。

 

一般的に、問題を解決するためには、その原因を取り除くという方法が用いられます。

問題行動に対しても同じようにおこなわれます。

問題行動の原因となっているワンちゃんの内面(思いや気持ち)を変えれば、その問題行動をしなくなると考えられます。

 

「飼い主の方がエライと思わせれば、ワンちゃんは怒らなくなる」

「飼い主がなめられなければ、ワンちゃんは言う事をきくようになる」

 

となるわけです。

 

そして

飼い主の方がエライと思わせる方法や、飼い主がなめられない方法というものが考えられていきます。

 

飼い主の方がエライと思わせる方法は、これまでにたくさん編み出されてきました。

例えば、

飼い主がワンちゃんよりごはんを先に食べましょう

(群れのリーダーが一番最初に獲物にありつくから)

 

ワンちゃんをベッドで寝かせてはいけません

(気持ちのいい場所はリーダーの場所だから)

 

お散歩では飼い主がワンちゃんより前を歩きましょう。

(群れの先頭は常にリーダーが歩くから)

etc

といった方法です。

※カッコ内の説明が正しいかどうかはまた別の話です。

はたして、これらをおこなう事で、ワンちゃんの怒って噛みつくという行動がなくなるでしょうか。

私は難しいと思います。

何をされたら噛みつくのか、噛みつくことでどのようなメリットがあるのか、というようにもっとワンちゃんが噛みついている状況やその環境に基づいた方法が提案されるべきです。

 

このように目に見える行動に対して、安易に心理的原因を推測したりこじつけたりすることは、実際の問題となる行動を直すより、自分たちの想像で作り上げた心理的原因を治そうとしてしまうことにつながります。

 

こういうことは人間の世界でもよく起きます。

仕事が遅くため息ばかりついている社員を上司が見たら、「あいつはやる気がない」と考えるでしょう。

仕事が遅い、ため息をつく、という行動を見て、彼の内面(やる気)に原因があると考えるのですね。

そしてその社員の内面を変えるために、自己啓発セミナーに通わせたり、飲み会に誘い上司の熱い思いを聞かせたりするでしょう。

でも彼の仕事が遅いことやため息をつくことに、体調が優れないといった別の原因があればどうでしょうか。上司のしているそれらの方法は頓珍漢なことですよね。

 

もしもこの上司が部下の話に耳を傾けることができる人なら、話は変わってくるかもしれませんが、残念ながらそのような理想的な上司にはなかなか出会えません。

 

 

私たちの隣にいるワンちゃんたちは言葉を使うことができません。

人間側が、どのようにワンちゃんたちの思いや考えを決めつけようと、彼らはそれを否定することはありません。

だからこそワンちゃんの内面を推測することには慎重にならないといけないですし、それに基づいたトレーニング方法が正しいかどうかも経過を観察することで確認していく必要があります。

長年、トレーニングを続けているが、成果が見られないのなら、そのトレーニング方法が何に基づいているのか、一度立ち止まって考えてみるのもいいかもしれませんね。

 

 

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